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部活のエースなのに非モテなあなたへ

『僕の名前はディッティ。
高校3年生だ。

僕は今、部活のみんなの応援を一身に受けながらこれから飛び越さないといけないバーを見ていた。
3年間の集大成。』

今までひたすら頑張ってきた成果、見せてやる!

彼は跳んでいた。
晴れの日も雨の日も風の日も跳んでいた。

「あーあ、足ひねっちゃったわー。テーピング巻いてよ!」

と少し走れば短距離走トラックで座り込む男に、女は甲斐甲斐しく世話をする。

こうしてずっとお話に花を咲かせるご両人をわき目に、僕はいつものようにバーを跳んだ。

『僕はこの部活でのエースなんだから、女の子にかまけちゃいられないよ!』

と強がる彼は意中の相手は得られず、その葛藤を練習にぶつけていた。
その目線の先にいた男を目の敵にするように。

いちよ
ウサギとカメ。繰り返す波のようあくる日も飛び続ける彼はもはやカメだった。

そんな日々も終わりを告げた。
3年間の毎日を掛けた一跳び。

カランという音が静かに響いた。

 

『結果は4位入賞。全国には届かなかった』

 

 

いちよ
真っ白になって戻ってきた彼が最初に目にしたのはいつぞのあの男。
男の目はウサギのようだった。

それを目にした彼の目はやっぱりウサギたった。

 

悔しいが、モテるやつにはいい奴が多い。

いちよ
時は巡り、薄ら紅が舞い上がる旅立ちの時期

「おーいディッティくん!早く打ち上げ行こうぜ!」

と馴れ馴れしく肩を組んでくる男をやっぱりディッティは好きではなかった。

だけど結局組み返してしまう肩。

対照的な2人。

彼らの未来は広がっている。

  • この記事を書いた人

りょうた”元”塾長

「元」非モテの塾長。30年を超える非モテ人生の果てに現在の彼女と出会い、当たり前な幸福を手に入れる。自身の非モテ人生によって培われた感性で恋愛について雑多に語る文筆家。

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