僕一人では堂々巡りだった。
いかに傷ついた非モテがどうして立ち直るかを考えても。
女性からの提案はとてもうれしいものなのだ
女性と何かやり取りをしていると大抵の場合僕が何かを提案する。
そしてその提案は永遠の沈黙とともに却下される。
再提案の機会は永劫訪れない。
そんな僕だから女性からの提案はうれしい。
しかも、写真という自分の好きなことならなおさらだ。
僕は悩んでいた。
非モテの闇とどう立ち向かうかを。
でも結局出る結論は一つしかなかった。
目の前の人と全力で向き合うこと。
机上の空論が実践になる
非モテを襲う様々な理不尽。
これに立ち向かう方法。
僕はノートに向かい沢山書いた。
目的意識とそれに向かうマイルストーン、全力で二人で楽しむプランを考える、『あ、し、ゆ』の精神で耐える。
などなど。
これは確かに有用だと思える。
だが机上の空論なのだ。
どんなに大層なことを考えても実際に女性を目にしていない時分に考えても机上の空論なのだ。
だからこそ写真好きな女性からの一言は救いだった。
僕はわかっていた。
どんな考えも机上の空論になるから、結局のところ目の前の女性に全力で向き合うという行動がマストであることを。
だから救いなのだ。
写真が好きなのならば、二人で楽しめる写真デートを考えることができる。
ついに開花?
時期は2月下旬。
ひと月もすれば開花の時期だ。
事前の会話から花の撮影が好きという情報を手に入れていた僕は迷いなく
こう提案する。
「絶対楽しみだ!」
僕は防湿庫からオリンパスのマクロレンズ(m zuiko degital ed 60mm f2.8 macro)を取出し部屋にあるフィギュアで試し撮りをする。
「ふふふ、星ボケもありだな」
そういえばオールドレンズにも興味があったみたいだったので、以前撮った写真を確認してみた。
相手からの返事がくる。
内容はなんと、桜もいいけどこういうのに行ってみたいとの内容。
ラインには本人が別のレースで撮った写真がテンポよく投下されていく。
僕の心もヒヨドリの声のようにテンポアップしていく。
非モテのこだわりは大空を舞う!
女性から提案されたのはバルーンレース。
天気の良い朝方の河原。
色とりどりの巨躯な気球が一斉に飛び上がる。
大空を飛び交う気球の姿は、舞い上がる花のよう。
これは念入りな調査が必要になるな。
おそらくベストスポットの調査が肝になるだろう。
以前の僕はこういう状況を敬遠していた。
なぜなら、こういうとき張り切りすぎて引かれるのではないかと思っていたからだ。
しかし今回はそんな気はしなかった。
「じゃあ、事前にどこかで打ち合わせしようね!」
僕が提供できるエンターテイメント。
それは惜しみもなく凝ることだ。
もちろん相手は乗り気。
バルーンレースは4月に開催される。
以上